不安や気分を良くするために薬を始めたのに、胃がむかむかして食べられない。「合っていない薬なのか」「続ければ慣れるのか」が分からない。
副作用かもしれないと思っても、診察では何から話せばよいか分からず、そのままにしてしまうことがあります。反対に、不安になって急に薬をやめると、中止症状や病状の再燃が起こることもあります。
この記事では、SSRIを飲み始めると吐き気がするのはなぜ?――いつまで続くかと対処について、薬の影響と別の原因をどう分けるか、経過をどう見ればよいか、どのような時に早めの相談が必要かを整理します。
どのような変化が起こることがありますか
セロトニンは脳だけでなく消化管にも関わるため、開始初期に悪心や胃部不快感が出ることがあります。
便がゆるくなる、腹部が落ち着かないといった変化を伴うことがあります。
吐き気のために食事や水分が取りにくくなり、仕事中の集中や服薬継続に影響することがあります。
薬の副作用だけで説明しないことも大切です
不安が強い時の吐き気、感染性胃腸炎、妊娠、片頭痛、他の薬、飲酒などでも似た症状が起こります。開始前からあったか、服用後の何時間に強いか、発熱・腹痛・下痢があるかを確認します。薬を始めた時期と偶然重なった身体疾患を見逃さないことも大切です。
いつから起こり、いつまで続きますか
開始後早い時期に現れ、数日から数週で軽くなる方がいます。ただし薬、用量、増量速度、体質により異なり、全員が「2週間我慢すれば治る」わけではありません。セルトラリンの国内添付文書でも悪心・嘔吐などの消化器症状が記載されています。高用量ほど悪心などの有害事象が増えやすいというレビューもあり、開始量と増量速度を確認します。
薬による違いはありますが、順位だけでは選べません
SSRIの種類により胃腸症状の出方には差がありますが、研究対象や用量が異なるため単純な順位は使いません。過去にどの薬で何が起きたか、下痢が困るのか便秘が困るのか、他の副作用と効果を含めて選びます。
診察までに確認しておきたいこと
- 01服用時刻と吐き気が始まる時刻を記録する
- 02食事と水分がどの程度取れているか確認する
- 03下痢、嘔吐、発熱、腹痛、頭痛など一緒に起きる症状を見る
- 04開始量、増量日、他の薬や市販薬の追加日を並べる
「我慢する」か「やめる」かの二択ではありません
増量を急がない、用量や服用時刻を見直す、症状に応じた対処をする、別の薬を検討するなどの方法があります。食事と一緒に飲めるかは製品と処方指示によって異なるため、一律に変更せず医師・薬剤師へ確認してください。飲み忘れ分をまとめて飲むことも避けます。
早めの相談・医療評価が必要な変化
働く方では、生活と仕事への影響まで確認します
吐き気は外から見えにくく、会議や通勤中に席を外せない不安を強めます。無理に通常勤務を続けるだけでなく、開始日を休日の前にするか、休憩や在宅勤務が可能かなど、処方時に仕事の条件も相談します。
よくある質問
Q吐き気があっても飲み続けるべきですか
軽さと経過、食事・水分、効果の見込みで判断します。脱水や強い症状がある場合は待たずに連絡し、自己判断の急な中止は避けます。
Q胃薬を一緒に飲んでよいですか
併用できることもありますが、市販薬を含め相互作用や症状の原因を確認します。自己判断で追加せず、医師・薬剤師へ相談してください。
Q吐き気はセロトニン症候群ですか
吐き気だけで直ちにセロトニン症候群とは言えません。発熱、発汗、震え、筋硬直、強い焦燥、意識変化などが重なる場合は早い評価が必要です。
まとめ
副作用は、薬の名前だけでなく、開始前の状態、用量を変えた時期、他の薬、身体状態、生活への影響から評価します。よくある変化でも、本人にとって治療を続けられないほどつらければ、調整すべき問題です。
「薬のせいかもしれない」と感じた時は、自己判断で結論を出す前に、何がいつから変わったかを記録して相談してください。治療の効果を残しながら、負担を小さくできる方法を一緒に探します。
精神科の薬の副作用シリーズ
参考資料
- 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA) ジェイゾロフト(セルトラリン)添付文書・患者向医薬品ガイド 文献情報
- NICE. Depression in adults: treatment and management (NG222). 文献情報
- Johnson CF, et al. Dose-response effects of SSRI monotherapy for depression: systematic review of reviews. BMJ Med. 2022. 文献情報
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断や処方に代わるものではありません。処方薬を自己判断で開始、増量、減量、中止しないでください。異常を感じた場合は医師・薬剤師へ相談してください。

