気分は少し良くなった。でも、性欲が戻らない。射精やオーガズムに時間がかかり、パートナーにも説明しづらい。薬のことを話すのも恥ずかしく感じる。
副作用かもしれないと思っても、診察では何から話せばよいか分からず、そのままにしてしまうことがあります。反対に、不安になって急に薬をやめると、中止症状や病状の再燃が起こることもあります。
この記事では、抗うつ薬で性欲低下・射精遅延が起こることはある?について、薬の影響と別の原因をどう分けるか、経過をどう見ればよいか、どのような時に早めの相談が必要かを整理します。
どのような変化が起こることがありますか
性的な関心や自発的な欲求が低下することがあります。
勃起しにくい、潤滑が得にくい、感覚が鈍いと感じることがあります。
オーガズムに達しにくい、射精が遅れる、達しないといった変化が起こることがあります。
薬の副作用だけで説明しないことも大切です
うつ病では、薬を始める前から性欲や反応が低下することがあります。糖尿病、甲状腺疾患、泌尿器・婦人科疾患、更年期、飲酒、降圧薬なども関係します。開始前の状態を確認しないと、回復していない症状と薬の副作用を区別しにくくなります。
いつから起こり、いつまで続きますか
開始後や増量後に気づくことがありますが、尋ねられなければ長く話せないままになる副作用です。2026年の無作為化試験のメタ解析では、SSRIはプラセボよりオーガズム障害が多く、性的満足度も低下していました。一方、性欲低下の差は統計学的に明確ではなく、評価項目ごとに根拠の強さが異なります。
薬による違いはありますが、順位だけでは選べません
平均的にはセロトニン作用の強い抗うつ薬で問題になりやすい一方、薬剤ごとの差を単純な順位だけで決めることはできません。ミルタザピンやボルチオキセチンなどが比較候補になることはありますが、眠気、体重、吐き気など別の負担があります。日本での承認適応、現在の効果、併用薬も含めて判断します。
診察までに確認しておきたいこと
- 01薬を始める前の性欲、勃起・潤滑、オーガズムや射精の状態を振り返る
- 02開始・増量と変化した時期を並べる
- 03抑うつ症状の改善と性機能の変化を別々に評価する
- 04身体疾患、他の薬、飲酒、関係性の影響も必要に応じて確認する
「我慢する」か「やめる」かの二択ではありません
少し待って経過を見る、用量や薬を見直す、身体要因を調べる、症状に応じた治療を検討するなど複数の選択肢があります。性行為の前だけ服用を飛ばす方法は、中止症状や再燃につながるため自己判断で行わないでください。
早めの相談・医療評価が必要な変化
働く方では、生活と仕事への影響まで確認します
性機能は仕事と無関係に見えても、自己評価、パートナーとの関係、睡眠、治療継続に影響します。「命に関わらないから我慢する」のではなく、生活の質を含む治療目標として扱います。
よくある質問
Q医師にどう伝えればよいですか
「薬を始めてから性欲が下がった」「射精に時間がかかる」のように、そのまま伝えて構いません。診察でよく扱う副作用です。
Q薬をやめれば必ず元に戻りますか
多くは見直しにより改善が期待されますが、経過はさまざまです。中止後も症状が続く報告はあるものの、頻度や原因には未解明な点があります。早めに相談してください。
Qうつ病が治っていないだけですか
その可能性もあります。薬の開始前後、他のうつ症状の変化、身体要因を分けて評価します。
まとめ
副作用は、薬の名前だけでなく、開始前の状態、用量を変えた時期、他の薬、身体状態、生活への影響から評価します。よくある変化でも、本人にとって治療を続けられないほどつらければ、調整すべき問題です。
「薬のせいかもしれない」と感じた時は、自己判断で結論を出す前に、何がいつから変わったかを記録して相談してください。治療の効果を残しながら、負担を小さくできる方法を一緒に探します。
精神科の薬の副作用シリーズ
参考資料
- Ferraz SD, et al. Sexual dysfunction associated with selective serotonin reuptake inhibitors in adults with depression. Eur J Clin Pharmacol. 2026. 文献情報
- Luft MJ, et al. Pharmacologic interventions for antidepressant-induced sexual dysfunction. CNS Spectr. 2022. 文献情報
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断や処方に代わるものではありません。処方薬を自己判断で開始、増量、減量、中止しないでください。異常を感じた場合は医師・薬剤師へ相談してください。

