DEFENSE MECHANISM

受動攻撃とは?

その反応が、何から心を守っているのかを考えます
ANGER & GUILT

「嫌だ」と直接言えない時、遅れる・忘れる・動かない形で抵抗が出ることがあります。

引き受けたはずの仕事に、なぜか取りかかれない。頼まれたことを何度も忘れる。表面では同意していても、行動が進まないことがあります。

だらしなさや意地悪だけではなく、怒りや拒否を直接表すと嫌われる、罰せられる、対立すると感じるため、間接的な形で「嫌だ」が現れているのかもしれません。

この反応について、もう少し読む

この働きを「受動攻撃」と呼びます。本人にも怒りの自覚が乏しく、本当に忘れたように感じる場合があります。

WHAT IT PROTECTS

受動攻撃は、何から心を守っているのか。

正面から断らなければ、良い人でいられ、相手との衝突を避けられます。同時に、遅延や消極性によって自分の意思を少し残せます。

しかし理由が見えないまま相手を困らせるため、信用が下がり、さらに強く管理され、怒りが増える循環になることがあります。

THE CYCLE

対立を避けながら抵抗できますが、意図が伝わらず関係がさらに厳しくなることがあります。

01TRIGGER

きっかけ

断れない、反対できない、従うしかないと感じる

02RESPONSE

起こる反応

遅刻、先延ばし、忘れる、わざとゆっくりする形で抵抗する

03RELIEF

その場の安心

表面上の従属を保ちながら、自分の意思や怒りを残せる

04COST

続いた時の負担

問題が曖昧なまま関係の信頼が下がり、本人も罪悪感を持つ

EXAMPLES

受動攻撃が現れやすい場面

行動だけで決めつけず、その前にどんな痛みや脅威があったかを一緒に見ます。

01

引き受けた仕事を無意識に後回しにする

02

不満を言わず必要な連絡を遅らせる

03

同意した後で協力しない形になる

FIRST STEP

遅れの裏にある「嫌だ」を小さく言葉にする

すべてを断らなくても、「期限が難しい」「この方法には懸念がある」「優先順位を確認したい」と具体的に伝えられます。

実行できない自分を責める前に、そもそも同意していたのか、断れずに返事をしていなかったかを確認します。

AT WORK

仕事の中で、この反応が起きる時

権力差が大きい職場では、直接反対できないために起こりやすい反応です。本人の態度だけでなく、意見を安全に言える環境かを見ます。

依頼を受けた時に即答せず、量、期限、優先順位を確認する仕組みを作ると、間接的な抵抗へ回る前に調整できます。

返事を保留する

その場で「はい」と言わず、確認して返す時間を作ります。

できる範囲を明示する

期限、量、優先順位のどこが難しいか伝えます。

MORE OPTIONS

その反応を奪わず、別の守り方を足す。

急に手放そうとすると、元のつらさだけが残ります。まず選択肢を一つ増やします。

01

怒りを認める

怒ってはいけないではなく、何が侵害されたか見ます。

02

小さく反対する

全面対立ではなく、一点だけ希望を伝えます。

03

行動の責任を分ける

背景を理解しつつ、遅延や未実施の影響は修正します。

WHEN TO CONSULT

医療機関へ相談する目安

防衛機制そのものを治療するのではなく、生活への影響や背景にある症状を確認します。

  • 不満を言えず、遅延や欠勤として繰り返し現れる
  • 怒りと罪悪感で職場や関係が続かない
IN CLINICAL PRACTICE

抵抗する自分を責めるより、直接言えなかった理由を扱う

受動攻撃を「性格が悪い」で終えると、怒りと力関係の問題が見えません。一方、理由があっても相手へ与えた影響は残ります。

影響を修正しながら、「嫌だ」「できない」を関係が壊れにくい言葉で少しずつ伝える方法を増やします。

REFERENCES参考文献・執筆上の注意表示する

防衛機制に関する総説・評価研究をもとに、患者さん向けに整理しています。

  1. Defense mechanisms: 40 years of empirical researchJ Pers Assess, 2015 / PMID: 25157632
  2. The Hierarchy of Defense Mechanisms: Assessing Defensive Functioning With the DMRS-QFront Psychol, 2021 / PMID: 34721167
  3. Involuntary coping mechanisms: a psychodynamic perspectiveDialogues Clin Neurosci, 2011 / PMID: 22034454

研究上の分類は複数あり、同じ反応の意味も状況によって異なります。このページだけで診断することはできません。

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