対人場面で緊張すると、「声が震えていないか」「変に見えないか」と自分の内側を監視します。その分、相手の言葉や会話内容へ使える注意が減ります。
目標は緊張しないことではなく、緊張しながらも会話や仕事の目的へ注意を戻すことです。
症状が続く仕組みを知る
原稿を一字一句覚える、目を合わせない、早く退室するなどの安全行動は、その場を切り抜ける助けになります。しかし「それがなければ失敗した」という学習を残すことがあります。
社交不安に特化したCBTでは、外向きの注意、行動実験、段階的曝露、出来事後の反芻などを扱います。
その場でできる3つのこと
全部を行う必要はありません。今できそうなものを一つ選びます。
会話の目的を一つ決める
好かれることではなく「確認事項を一つ聞く」などへ目標を変えます。
相手の言葉へ注意を戻す
自分の顔や声の監視から、相手が話した内容へ戻します。
場面を少しだけ続ける
すぐ逃げず、予定していた短い時間まで留まります。
継続的に取り組むこと
短期的な安心だけでなく、生活の幅を少しずつ戻すための方法です。
場面を段階化する
挨拶、短い電話、会議発言などを不安の強さで並べます。
安全行動を減らす
過剰な原稿、視線回避、酒の力などを一つずつ見直します。
事後反省を制限する
終了後の検討時間を決め、曖昧な自己批判を続けません。
避けたい対処
一時的には楽でも、長く続けると症状や生活上の困りごとを大きくすることがあります。
- 緊張がなくなるまで参加を延期すること
- 会食や発表前に飲酒へ頼ること
- 相手の表情だけで評価を決めること
仕事との関係で考えること
発表では「緊張を隠す」より、要点、時間、質問への返答方法を準備します。配慮が必要なら、少人数からの発表、事前資料、オンライン参加などを検討します。
医療機関へ相談した方がよい目安
一つでも当てはまれば必ず病気という意味ではありません。安全確認や背景の整理が必要な目安です。
- 会議、電話、会食、通勤を避け仕事に支障がある
- 不安を下げるため飲酒が増えている
- 終了後の反芻で眠れない状態が続く
参考文献・診療ガイドライン
本文は以下の資料と臨床的な観点をもとに、患者さん向けに整理しています。
- Social anxiety disorder: recognition, assessment and treatmentNICE CG159↗
- Psychotherapies for social anxiety disorder in adultsSystematic review and network meta-analysis, 2025 / PMID: 40023260↗
- Long-term Outcomes of Cognitive Behavioral Therapy for Anxiety-Related DisordersJAMA Psychiatry, 2020 / PMID: 31758858↗
研究結果は、個々の患者さんへの効果や安全性を保証するものではありません。治療の適応、薬の調整、曝露や睡眠制限などの実施方法は、診察で状態を確認して判断します。
