レンドルミンは、寝つきや夜間の睡眠を助ける短時間作用型の睡眠薬です。「短時間型なら翌朝に残らない」と思われがちですが、半減期は約7時間で、服用時刻や睡眠時間によっては持ち越します。
夜中に追加する、服用後にスマートフォンを操作する、十分な睡眠時間を取れない、といった使い方では健忘や転倒の危険が高まります。
レンドルミンとは
レンドルミン
販売名です。
ブロチゾラム
一般名です。
チエノジアゼピン系睡眠薬
不眠の形と翌日の生活に合わせて選びます。
作用機序――脳の興奮をどう抑えるのか
チエノジアゼピン系の構造を持ち、GABAA受容体のベンゾジアゼピン結合部位に作用して、脳の覚醒を抑えます。
国内で承認されている適応
国内では、不眠症と麻酔前投薬に承認されています。不眠の背景に睡眠時無呼吸、うつ状態、躁状態、痛み、飲酒などがないかも確認します。
用法・用量
不眠症では通常0.25mgを就寝前に服用します。年齢、症状、併存疾患によって調整し、自己判断で夜中に追加しません。
ここに示すのは国内添付文書の一般的な情報です。ご自身の処方を変更する目安ではありません。自己判断で増量、追加、中止をしないでください。
作用時間と代謝
半減期は約7時間で、CYP3A4が代謝に関与します。強いCYP3A4阻害薬や飲酒、他の鎮静薬との併用で作用が強まる可能性があります。
半減期は比較の手がかりですが、体感する作用時間そのものではありません。年齢、肝機能・腎機能、併用薬、服用期間、睡眠時間によって効き方と残り方は変わります。
診療では、どのように使い分けるのか
眠れない夜に即効性が助けになることがあります。ただし、慢性不眠では睡眠薬だけでなく、不眠の認知行動療法、起床時刻、昼寝、カフェインなどを一緒に整えます。
睡眠時間が延びても、翌朝の反応速度や記憶が落ちれば仕事の安全性は改善していません。夜と翌日を一組で評価します。
レンドルミンの「効き味」をどう考えるか
レンドルミンは、ベンゾジアゼピン受容体作動薬の睡眠薬としては、寝つきと夜間の持続のバランスが比較的取りやすい印象があります。マイスリーほど短くなく、長時間型ほど翌日まで持ち越しにくい、という中間的な使い勝手です。
当院では、短時間型の中では半減期が中ほどで、比較的オーソドックスな睡眠導入剤という印象があります。健忘の訴えが目立たない方もいますが、健忘・もうろう状態・転倒・身体依存が起こらないという意味ではありません。
臨床では、「眠れたか」だけでなく、翌朝の頭の重さ、出勤時のふらつき、夜間の記憶を確認します。午前2時に目が覚めて追加し、6時に運転するような使い方には向きません。短時間型という分類より、服用から起床までの実時間が重要です。
毎晩必要になっている場合は、薬を急に外すのではなく、不眠の型、起床時刻、昼寝、飲酒、睡眠時無呼吸、気分症状を見直します。薬が担っている役割を別の方法へ少しずつ移すことが出口になります。
向きやすい場面
寝つきが悪く、服用後すぐ就床できる時。
慎重に考える場面
夜勤、早朝運転、睡眠時無呼吸、高齢、転倒歴がある時。
見直しのサイン
夜中の追加、記憶の抜け、朝のふらつきがある時。
一緒に増やすもの
CBT-I、起床時刻の固定、刺激制御、睡眠衛生。
身体依存と離脱をどう考えるか
連用により耐性や身体依存が生じ得ます。急な中止で反跳性不眠が強まることがあるため、漫然と続けず、減量も個別に計画します。
身体依存と、薬の使用を自分で制御できず生活に支障が出る使用障害は同じではありません。どちらも決めつけず、量、回数、服用目的、得られている利益、困っていることを具体的に確認します。
主な注意点
- 確認すること前向性健忘、夢遊様行動、もうろう状態
- 確認すること翌朝の眠気、ふらつき、転倒
- 確認すること服用後に十分な睡眠時間を確保できない状況
- 確認すること飲酒、他の睡眠薬・鎮静薬との併用
服用後の運転や危険作業は避け、飲酒や他人に処方された薬との併用をしないでください。呼吸が浅い、意識がもうろうとする、普段と違う行動がある時は、速やかに医療機関へ相談してください。
関連する薬と総合ガイド
参考文献・公的資料
- レンドルミン(ブロチゾラム).PMDA 電子化された添付文書.
- Stahl SM. ストール精神薬理学エセンシャルズ 第4版 神経科学的基礎と応用. メディカル・サイエンス・インターナショナル.
- Taylor DM, Barnes TRE, Young AH. モーズレイ処方ガイドライン 第13版 日本語版. ワイリー・パブリッシング・ジャパン.
- Sateia MJ, Buysse DJ, Krystal AD, et al. Clinical Practice Guideline for the Pharmacologic Treatment of Chronic Insomnia in Adults. J Clin Sleep Med. 2017;13:307-349. AASM guideline.
この記事は一般的な医学情報です。診断や個別の処方を目的とするものではありません。ベンゾジアゼピン受容体作動薬を連用後に急に中止すると、重い離脱症状が起こることがあります。自己判断で開始・増量・減量・中止せず、処方医または薬剤師へご相談ください。

